エアハンとは?仕組み・種類・違い・選び方までわかりやすく解説
2026.01.30
豆知識
エアハンとは
エアハン(AHU/エアハンドリングユニット)とは、空気環境の基準を満たした清浄な空気を建物内に供給するための業務用空調設備です。
建物の用途や衛生管理要件に応じて、基本的にオーダーメイドで設計・製造されます。
家庭用エアコンや業務用エアコンと異なり、エアハンは冷媒ではなく「水(冷水・温水・蒸気)」を伝熱媒体として使用します。
また、建物内の還気と建物外の外気を同時に取り込み、ろ過・温度調整・湿度調整を行うことで、建物全体の空気環境を一定に保ちます。
エアハンは居室の快適性を高めることよりも、大規模施設における衛生管理や空気品質の維持を主な目的とした空調設備です。
エアハンのタイプ
エアハンは大きく分けて、次の2種類があります。
冷温水式エアハン
冷温水式エアハンは、フィルター、熱交換器(コイル)、加湿器、送風機などで構成され、ボイラーやチラーで作った冷水・温水・蒸気を熱源として使用します。
ユニット型(標準型)による大容量セントラル空調のほか、個別分散空調に対応したコンパクト型、空港ターミナル向けのターミナル型など、用途に応じた多様な形式があります。
大規模建物で安定した空気品質管理が求められる場合に多く採用されます。
直膨式エアハン
直膨式エアハンは、冷温水式エアハンに熱源機(ヒートポンプ)を内蔵したタイプです。
基本構成は冷温水式とほぼ同じですが、冷水・温水を使用せず、ヒートポンプ式の伝熱媒体を用いて空気を冷却・加温します。
冷温水設備が不要なため、比較的コンパクトで設備構成を簡素化でき、中規模施設などで採用されるケースがあります。
エアハンとファンコイルユニットの違い
エアハンと混同されやすい設備にファンコイルユニットがあります。
ファンコイルユニットは、オフィスビルの会議室や個室、外気温の影響を受けやすい窓際など、エアハンだけでは温度調整が十分に行えないエリアの冷暖房を補助する設備です。
ファンコイルユニットは温度制御のみを行い、湿度制御はできません。また、空気の循環のみを行うため、外気を取り入れるには別途換気設備が必要になります。
一方、エアハンは外気処理・湿度調整・空気清浄までを含めた空気環境管理を担います。
両者は用途が異なり、多くの建物では併用されています。
エアハンと業務用エアコンの違い
エアハンは機械室に設置された空調設備から、ダクトを通じて清浄な空気を建物内へ供給します。
業務用エアコンは、室内機と室外機をセットで設置し、特定の居室空間を冷暖房する設備です。
業務用エアコンは室外の空気を熱源として冷媒を冷却・加温し、その冷媒によって調整された空気を室内機から直接送風します。
エアハンは建物全体の空気環境管理を目的とし、業務用エアコンは居室単位の温度調整を目的とする点が大きな違いです。
エアハンの仕組み
エアハンは一般的に機械室に設置され、ボイラーやチラーなどの熱源装置、熱交換器、送風機などを組み合わせて清浄な空気を作り、建物内へ供給します。
基本的な空気の流れは次のとおりです。
建物内の還気と建物外の外気を取り込み、フィルターで浄化
→ 熱交換器で冷却・加温
→ 加湿器で湿度を調整
→ 送風機でダクトを通して建物内へ給気
エアハンの筐体は、断熱材(発泡ウレタン)を挟んだ鋼板構造で、「入力側装置」と「出力側装置」に分かれています。
入力側装置の役割
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外気吸入:新鮮な外気を取り入れる
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熱源:熱交換器で冷風・温風を生成
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還気:建物内の空気を回収して浄化
出力側装置の役割
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清浄空気:温度・湿度・CO₂濃度などを調整した空気を供給
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結露水:発生した結露水をドレン管から排水
エアハンの構成ユニット
エアハンは主に次のユニットで構成されています。
熱交換器
ボイラーやチラーで作った温水・冷水と空気を熱交換する装置です。
一般的には、フィン付コイル熱交換器が使用されます。
加湿器
熱交換後の空気に適切な湿度を与える装置です。
用途に応じてさまざまな方式が採用されます。
フィルター
外気や還気中の不純物を除去する装置です。
自動巻取型フィルターや固定設置型フィルターが用いられます。
送風機
調整された空気を建物内へ送る装置です。
従来はVベルト式が主流でしたが、近年は直動式も増えています。
ドレンパン
結露水や余剰水を集めて排水する受け皿です。
エアハンの用途
エアハンは、次のような大規模建物で使用されます。
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オフィスビル
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商業ビル・ショッピングモール
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病院・研究施設
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劇場・ホール
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工場・クリーンルーム
特に建築物衛生法の適用を受ける建物では、エアハンによる空気環境管理が重要になります。
エアハンのメンテナンス
エアハンは複数のユニットで構成されているため、定期的な分解・清掃メンテナンスが必要です。
耐用年数は、一般的に約15年が目安とされています。
主なメンテナンス内容
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フィルターの洗浄・交換
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熱交換器の洗浄(カビ対策)
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加湿器のカルキ除去
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送風機の清掃
適切なメンテナンスを行わない場合、空気汚染や性能低下の原因になります。
まとめ
エアハンの導入を検討する際は、まず建物が建築物衛生法の適用対象かどうかを確認することが重要です。
適用対象であれば、空気調和設備として温度・湿度・換気・空気清浄を適切に管理する必要があります。
エアハンは、建物の空気環境を長期的に支える重要な設備です。
設計・施工・保守まで含めて、実績のある専門業者に相談することが、失敗しない導入につながります。